おかわりもらった

元気な証拠を残します。

逃げてもくつろぐ

引っ越しも終盤、仕事から帰って夜、子供を寝かしつけてから予約した粗大ゴミを外に嫁と出した。「ソファーとか夜に運んでいると夜逃げみたいだね。」と嫁と話していたけど、夜逃げする時はソファーなんて持って行かないだろうな。逃げる気無いだろ。と今になって思う。

 

家の前の街灯の下に、ソファーと作業机と食器棚とテレビボードとゴミ箱を置いて粗大ゴミのシールを貼って帰ろうと振り返ったら、街灯が間接照明として良い雰囲気を出していて「あれ、ここに住めるんじゃないの?」となって、嫁はソファーに座ってしばらくくつろいでいた。こんなに広い部屋に住めても一定の範囲しか使わないだろうな。と思いつつ、景色が続いていく光景はいくら見ていても飽きないもんだな。と思った。

「明日の朝、誰かこのソファーに座っているかも知れないね。」なんて話をしながら写真を撮っていたら子供の泣き声が部屋から聞こえて来て戻った。戻る途中で泣き声のボリュームが段階で上がっていって、目覚ましアプリみたいだなと思いつつドアを開けたら目の前に子供が来ていて、子供の顔を見たら寂しそうな顔をしていて、嫁が「ごめんね。」と言いながら抱き上げたらすぐに泣き止んだ。

その後、お詫びのぽんぽんすぽぽーんぽんすぽんぽん!をやったら声を出して笑ってくれた。罪悪感もあったので追加でT T兄弟もやってみたけどそれは無表情になって調子に乗ってごめんなさい。と謝った。

部屋から物がごっそり無くなって空白が出来たような寂しい気持ちになっていたら嫁が「ねぇ!声が響くよ!なんで!?面白ーい!」と言っていて、この人といれば空白なんてあっという間に埋まるんだな。なんて思った。

 

次の日の朝、会社に行こうと駐車場に出たら知らないおじさんが昨日出した粗大ゴミのソファーに座って、コーヒーを飲みながら英字新聞を読んでいた……なんて事も無く、せっかくだから運ばれていく所を見届けたかったな。と思いながら会社に行った。